「ほぅ・・・・アンタみたいな女、結構俺は好きやでェ！！」
ガルバはニヤッと笑い、フィリア目掛けて、さっきと同じ衝撃破を起こす。
「四神司りし世の神よ 我を守る鉄壁の壁を召喚せん 悪しき輩より来た攻・・・・全てを神の壁によって無とならん！・・・・セーフティーウォールッ」
フィリアの目の前に光で出来た壁が現れ、衝撃破を防いだ。
「我に眠りし浄化の炎よ 火界王パイモンによって開放し 汝に灼熱の地獄と浄化の光を与えん・・・・。ファイヤー・ボルト」
フィリアがファイヤーボルトの呪文を唱えると、火の玉が召喚され、ガルバに襲い掛かった。
ガルバはその無数のファイヤーボールを『余裕』を現す表情でかわした。
フィリアは魔法を得意とし、接近戦にはあまり向かない。
ガルバはフィリアと逆で、接近戦はプロ並、魔法は使えない。
なので、フィリアは絶え間なく魔法を使い、ガルバが近づかない様にしなければならない。
だが、魔法は詠唱を唱えなければ発動する事が出来ない。
詠唱中に攻撃されてしまっては、魔法を使うどころか、死んでしまう。
なので、なるべく詠唱が短い、低級魔法を使わなければならない。
「氷結の矢よ 我に眠りし冷たき精を開放し具現せん・・・・。コールド・ボルト」
これもまた、低級魔法。
ガルバはファイヤー・ボルト同様、軽々と氷の矢をかわし、更にフィリアに近づく。
「・・・・・」
「フィリアさんッ！今行きますッ！」
キリエルがリナムを下ろし、フィリアに加勢しようとする。
「待って。キリエル。貴方はケアティルとリナムちゃん、そこの人と一緒にイズルードの外へ逃げて、ケアティル達の手当てを」
「えっ？」
「いいからはやくっ！」
「・・・・わかりました。ケアティル、一人で歩ける？」
「あぁ、大丈夫だ」
キリエルはラバースを起こし、自分の肩を貸してイズルードの外へ出る。
ケアティルは風歌蒼を抱き、よろよろしながらも歩く。
そんなケアティルを心配しているのだろうか、リナムはケアティルを見つめながらイズルードの外へと出て行った。
「余所見は禁物やでっ！」
いつのまにかガルバがフィリアの目の前まで来ていた。
ガルバはニッと笑みを浮かべ、大剣を横に振る。
「もらったぁっ！」
シュンッ。
フィリアはジャンプし、ガルバの大剣の上に乗った。
「んなバカなッ！」
「・・・・一つ言い忘れました。・・・私、強いですよ」
フィリアはガルバに微笑んで言う。
そしてフィリアはジャンプして大剣から降りる。
ガルバは今度は我武者羅に大剣を振るう。
しかし、それを余裕の表情でフィリアはかわす。フィリアはかわしながら、何かブツブツ・・・呟いていた。
「・・・・・・・・・・」
「コイツ、攻撃をかわしながら詠唱を・・・・っ！」
この女・・・、さっきと何かが違う・・・・。
ガルバはフィリアの『何か』を感じ、フィリアに少し恐怖を抱いた。
「させるかっ」
ガルバはフィリアの顔面目掛けて大剣を突き刺す。
フィリアはそれをかわす。が、頬にかすったため、頬からは血が流れ出し、詠唱が途切れてしまう。
更に、レンガの壁に背中をぶつけてしまう。
「もらったぁッ！！！」
ガルバは大剣を大きく縦に振った。
「・・・・油断した？それとも貴様の目には勝利がもう見えていた？」
今までのフィリアと全然違う口調でフィリアが呟く。
フィリアは大剣が振り下ろされる前にガルバの懐に入り込み、右拳をガルバの腹に思いっきりぶつける。
「かはッ！」
ガルバは大剣を思わず落としてしまう。
腹を抑えながら、ガルバはフィリアから離れた。
「お・・・お前一体何モンや・・・」
「すまないな、弱き者よ。彼女の体は今、我が支配している」
「・・・・・どういう・・・コトや・・・・」
「・・・・・・フッ」
「な、何が可笑しいんやッ」
「死にゆく者に、我のコトなど話す意味は・・・ない」
「・・・・ぁ・・・あ・・・・・・・！」
ＲＯ ｔｈｅ ｓｔｏｒｙ ｔｉｍｅ
『Good-By・・・・』
第二話
↓START↓
場所は変わり、イズルードの外。
キリエルはヒールを使い、二人の手当てをしていた。
ケアティルはまぁまぁ回復し、戦うコトは出来る。が、あまり無理に動くと傷口が開く程度だった。
しかし、ラバースは相当な傷を負っていて、ヒールを使ってでもケアティル程に手当ては出来るモノではなかった。
風歌蒼も同じだ。
リナムは、風歌蒼をじっと見つめ、風歌蒼の頭を撫で始めた。
「フィリアさん・・・・大丈夫かな」
「心配ない。フィリアはただの魔術女じゃないからな」
ケアティルが言う。
「そうだね・・・・」
「やっと見つけましたよ。ラバースさん」
「・・・・・おや、人間がいるではないか。仲間か？」
聞き覚えのある声に、キリエルが後ろを振り向いた。
そう、そこには、セネアがいたのだ。
セネアの隣には、子供が一人いた。
「ちっ。来たか」
ラバースは舌打ちし、弓を持ち、矢を弓にセットしようとする。
しかし、腕の痛みのせいか、力が入らず、矢を放つコトが出来ない。
「セ・・・・セネア・・・」
「・・・・これは・・・敵とはいえ、悪魔のいる場所に私達を連れてくるとは・・・・ラバースさん、なかなかやりますね」
「・・・・・ふん。死に底無いが逃げても無駄だと思ったが・・・そうでもないようだな」
子供とは思えぬ口調で、その子供が言った。
「貴様、誰だ」
ケアティルが剣を構え言う。
「・・・失礼、自己紹介しておかなければな。私の名はホートローム。セネアとガルバ同様、私もモンスターだ」
「貴様もモンスターか」
「さて、これ以上、死にゆく者共に言っても無駄だな」
「生憎、死ぬ予定は、ない」
「そうか。では貴様の予定をこの私がいじってやろうか？」
「俺の予定は誰にも変えられん」
ケアティルは走り出し、ホートローム目掛けて剣を振るう。
ホートロームはケアティルの剣をジャンプしてかわす。
「我が怒り 雷界王バルムンにより開放せん その怒りを天に送り 我の前に立つ者に天の裁きを与えん」
「なっ、空中で詠唱だとっ！？」
「サンダーストーム」
曇ってもいない空が、ゴロゴロと音を鳴らし始める。
そして、空から光が見えたと思うと、雷がケアティル目掛けて落ちてきた。
「うわッ」
雷に直撃しなかったものの、雷が地面に落ちて出た爆風に吹き飛ばされてしまった。
「ケアティルッ」
「貴方の相手はこの私ですよ」
「セネア・・・・」
「今日はとてもついている日だ。ここで悪魔を殺してあげましょう」
「させてたまるかっ。リナム、僕から離れてっ」
「・・・・・・・うん」
リナムは駆け足でキリエルから離れ、ラバースの近くに寄る。
「さて、あの時の続きをしましょう」
「そうだな・・・・」
「そうだ。あの時、私が話し損ねたコト、今日は教えてあげますよ」
「話し損ねた・・・・・っ。・・・・・！・・・」
「いいじゃないですか。別に、悪魔が何処から来たか・・・という話を聞いても、貴方は今まで通り、悪魔と暮らすでしょう。・・・私がそれをさせないのですがね」
「・・・・・・」
「貴方は悪魔を何処で見つけました？恐らく、イズルードの高速船がある辺りでしょう」
「・・・！何故それを・・・・」
「やはりね。では、アルベルタから出た高速船が落雷によって沈没した事件も知っていますね？」
「あぁ・・・・」
「あれ、ホートロームがやったんです」
「何ッ！？」
いわゆる、爆弾発言をセネアが口にした。
「そしてその中に、悪魔の両親と、悪魔が乗っていた」
「リナムが・・・・・？」
「そう、船を沈没させた方法はともかく・・・・、悪魔が生きていたのは不思議でしたよ。船の破片か何かに捕まってイズルードに来たようですけど・・・・」
何かつっかかる・・・・・。
キリエルは、アルベルタにいる祖母の所へ行く時、あの時はもう事件が過ぎた時だった。
何故、イズルードから出る高速船に乗る時、リナムを自分は見なかったのだろう。と、思った。
まぁ、リナムに聞けばいい話なのだが・・・・。
今はそれどころではない。
「さて、話はここまで。そろそろ、悪魔と一緒に逝ってもらいましょう」
「やれるもんならね」
キリエルとセネアは走り出した。
キリエルの右拳をセネアが左腕でガードし、左足を横に振った。
それをキリエルは左腕を出し、セネアの左足を掴む。
そしてキリエルは左足でセネアを蹴る。
セネアは掴まれた左足を振り払い、左腕をキリエルの右拳から離してバックステップし、距離をとる。
セネアはまた走り出し、距離を詰める。
今度は勢いよく、右拳のストレートをキリエルの顔面にお見舞いする。
それをギリギリでキリエルはかわし、右拳のストレートをセネアの顔面にお見舞いする。
これもまた、ギリギリでかわす。
そして互いはバックステップし、距離をとった。
「・・・・長引きそうだな・・・」
「その様ですね」
一方、ケアティルとホートロームは・・・・。
「祈りは念 何よりも強く 万物を滅せん。ナパームビート」
走り出して勢いのついたケアティルの目の前が突然爆破する。
煙の中からはケアティルが現れ、さっきよりも勢いのよい走りでホートロームに近づき、剣を縦に振るう。
ホートロームは笑みを浮かべ、バックステップでかわす。
「ちッ。すばしっこい餓鬼だ」
「餓鬼ではない。私はモンスターだ」
「格好は餓鬼だろッ」
「ふん。子供の姿の方が魔力の消費が少ないのでな」
「あぁそうかいッ」
「・・・・フッ。・・・・我が身に眠りし聖の炎よ現れん」
ホートロームの周りに、火の玉が召喚される。
「・・・・全てを焼き葬れ。サイトレシャ」
召喚された火の玉は、いっせいにケアティルに飛んでゆく。
「あまいなッ」
ケアティルは剣を地面に突き刺し、ニッとホートロームに笑みを見せた。
「我が怒りの炎よ 火界王パイモンによって開放し 炎による破壊の爆発を起こさん！マグナム ブレイクッ！！」
ケアティルが唱えると、剣が赤くなり始めた。
『怒りの炎』を、剣が吸収しているのだ。
「ほぅ。ただの剣士ではないわけだ。・・・・・・・・・全てを無にする神の衣よ・・・・・・」
「ハァッ！！！」
『怒りの炎』を吸収した剣はケアティルに大きく縦に振られる。
そして、ケアティルとホートロームの真ん中が、爆発を起こした。
「セーフティーウォール」
バフゥ・・・・！！！
凄まじい威力を持った爆風がホートロームを襲う。
「やったか・・・・」
煙が消えてゆく。
そこには、長方形の形をした物が見える。
「ちッ。セーフティーウォールか」
「ご名答。中々の威力だが、セーフティーウォールの前では絶対無力だ」
・・・・・。
・・・・・。
「そこまでだ・・・・」
キリエル達が戦っている最中、誰かの声が戦闘を止めた。
橋の上に立っていた者は・・・・・
「・・・・フィリア・・・・さん」
そう、フィリアだ。
「・・・・とてもいい夜だ。この夜は我に幸を与えてくれたのだろうか・・・。歯ごたえのありそうな人間と魔物がおるわ・・・」
＞＞＞ 管理人より ＞＞＞
やはりフィリアさんは、管理人の思ったとおり・・・・・最高でした ＞＜ｂ
管理人ことＡｏは、こういうキャラが大好きでございます（ぉ）。
圧倒的なチカラに、高圧的で威圧的な性格（ぉぉ）。
これからの活躍に期待しっぱなしです。
物語は、まさに激戦ですね。
いやはやしかし、呪文詠唱は格好いいです。やっぱり。
管理人が書いてるＫａｋｅｒａの方では、考えるのが面倒で詠唱は省いたんですが（爆）。