・・・・・・くそっ！
なんなんだコイツ等！
並みの奴らじゃない！
・・・・・マズイ。マズすぎる。
これだと・・・・リナムが・・・・・！
そう。ある時、奴等との戦いの歯車が動き出した時だった。
ＲＯ ｔｈｅ ｓｔｏｒｙ ｔｉｍｅ
『キリエルの話』
第四話
↓START↓
ある時・・・・ゲフェン魔法学校が休みの日。
リナムと一緒に、プロンテラに行った。
プロンテラ図書館での読書だ。
リナムはヒマそうだったので、図書館にでも行ってヒマ潰しでもさせようと言う考えだった。
プロンテラ図書館では、偶然にも程があるとは思うが、ケアティルと出くわした。
勿論、リナムはケアティルを避けていた。
「・・・・何読んでるんだ？」
イスに座り、隣で本を読んでいるケアティルに問う。
「詩だ」
「ふ〜ん・・・・意外だねェ・・・・」
「意外とはなんだ？俺が詩を読むのは可笑しいか？」
「いや、そー言うワケじゃないんだケドさ・・・・・」
「なら言うな」
「はい・・・・・・」
ケアティルは開いていた本をパタンと閉じ、元合った場所に戻しに行った。
僕はチラッと時計を見た。
昼、３時。
そろそろ帰るか・・・・・。
そう思い、僕はイスから立ち上がった。
「リナム、そろそろ帰ろうか」
「うん」
リナムもイスから立ち上がった。
ちょうどケアティルも戻ってきた。
「ケアティル・・・・」
「わかっている。もう帰るのだろう？ちょうど俺も帰ろうと思っていたトコだ」
「なら、一緒に帰ろうか」
「・・・・・・まぁ・・・いいだろう」
プロンテラを出て、イズルードに三人で帰る途中だった。
周りにはポリンやファブルがいる。向こうから攻撃してくる程好戦的なモンスターでも無いので安心して道を進める。
ポリンにエサを上げている人も時々見かける。
ポリンはモンスターと言うより、ペットとしての存在の方が高いかもしれない。だが、この世界でポリンはモンスター視されている為、ルーンミッドガッツ王国ではポリンをペットとして飼うコトは禁止されている。勿論、ほかのモンスターもだ。
歩いている途中、一匹のポリンが僕達の前に止まり、僕達を見た。
リナムは体をポリンに近づけ、興味津々な目でポリンを見た。
シュバッッ！！！
強風をも巻き起こしそうな風が僕らを襲った。
砂嵐が起こり、目を瞑って顔を隠した。
そして、砂嵐がなくなり、目を開けた。
「・・・・・キリエルお兄ちゃん・・・・」
「なッ！」
さっき目の前にいたポリンが・・・・・バラバラ死体と化していたのだ。
何だろう。ただの風では無いだろう。このしっかりと両断されたような切れ目。・・・・衝撃破のようなモノで切られた跡が死んだポリンにある。
幸い、自分達が被害を受けなかったのは奇跡に近いだろう・・・・・・。
「あーぁ。もう少しで殺れたんやがな〜」
右から知らぬ声。僕は体を右に動かした。すると、少し遠く離れた所に、剣を地面に突き刺した人が立っていた。
・・・・・と言うコトは、奴が僕達を攻撃したのか・・・・。そいつの隣にも、もう一人、メガネをかけた奴がいる。
「しっかし、お前の言うコトはホンマやったんやな」
剣士のような男が横目で後ろにいるメガネの男に言った。
「私を甘く見ないで下さい。・・・・しかし、ほかの人間が一緒にいるとは、計算外でしたね」
「貴様等。何者だ？」
ケアティルが少し前に出ていき、いつでも攻撃ができる様に剣を抜いた。
「いんや いんや。名乗る程大したモンやないで？兄ちゃん」
「ふんッ。剣で衝撃破を起こした程の者が大した者とは有り得ないと思うが？」
少し笑みを浮かべてケアティルが言った。そして、向こうの剣士も地面に突き刺していた剣を抜き、攻撃態勢になった。
「・・・・・兄ちゃん、結構強そうやな。俺といっぺん殺り合わんか？」
「生憎、俺は誰かと付き合っている程ヒマではないんでな・・・・と、言いたいトコだが・・・・・どうやらその様子じゃ・・・・」
「『そうもいかんな』・・・・やろ？しかも、めっちゃヒマそうな顔してるやん？」
「待ちなさい」
二人が戦いを始めようとした時、メガネをかけた男の一言で二人の動きがピクリと止まった。まるで、動きを封じる呪文を掛けられた様な・・・・・。
「私達は戦いに来たのではありません。両者ケガなど無く、奪いに来たのです」
「奪いに・・・・来た？」
僕がそう言い、少し後ろに下がった。リナムは僕の後ろに隠れている。
「一体何を奪いに来たんだ？」
「・・・・そこの、後ろのお姫様ですよ。・・・・いや、悪女と言うべき存在」
「悪女・・・？リナムが・・・・？」
「そうです」
「リナムが・・・悪女なハズが無い！今まで、その様な行動は一度もとったコトは無い！」
「・・・・私は貴方方にとって悪女だとは言っていません。私達にとって、彼女は悪魔なのです」
「どー言う意味だ！？」
「・・・・・では、最初から説明しましょう」
少し黙り込み、メガネ男の口が開いた。
「まず、私とそこの剣士、ガルバは、モンスターです」
「モンスターッ？」
「そう。何のモンスターか、までは教えるコトができません」
「モンスターが人間に化ける・・・・！？」
「簡単ですよ。魔力を私達は持っているんですから。これぐらいのコトはできて当たり前です。・・・・・さて、話を戻しましょうか。・・・・・そこの悪魔・・・悪魔の両親は、私達モンスターにとって、とても邪魔な存在なんですよ。私達の生活を乱す・・・・ね。悪魔の両親は、最強とも言われる魔物退治士。この世界の最強極悪のモンスター。バフォメットをも超える力を持つといわれていました。そうすれば、私達もいずれ、悪魔の両親に殺される。血が血です。その悪魔もほおっておけば、いずれ最強の名を誇るでしょう」
最強とも言われる魔物退治士。それは僕も耳にしたコトがあった。
メガネ男は、しばらく黙り込んでまた口を開いた。
「だから、殺してやったんですよ。悪魔の両親を」
「！？」
なッ・・・リナムの両親が・・・あいつ等に殺された！？
「・・・そうだ。この際ハッキリさせましょう。悪魔が何処から来たのかを・・・・・」
「やめてくれッ！！」
「？」
「・・・・やめてくれ・・・これ以上言われたら、リナムをどうしていいか・・・・わからなくなりそうだ！」
「そうですか。その自分にしかわからない苦痛。・・・・・・今回のトコは、この話は終わりにしましょう。どうせ、貴方方が悪魔を渡せば済むコトなのですし」
「・・・・・・・・・くれてやるもんか」
「？」
「誰がリナムをお前達に渡すもんか！」
「・・・・・しょうがないですねェ・・・・なるべく殺し合いだけはしたくなかったんですケド・・・・・。ガルバ」
「わかっとるで！兄ちゃん！殺ろうとするか！」
「望むトコロだ」
ガルバと言う剣士とケアティルが走り出し、剣での戦いを始めた。
「さて、私も殺るとしますか・・・久しぶりですね。戦いは・・・・」
メガネ男が僕に向って走り出した。
僕はリナムに、近くの安全な場所に隠れるよう指示した。
相手は素手。僕も素手・・・・・・殺し合いと言っても、殺すに至るダメージを与えるのは難しいコトだった。
右手から、僕の顔への拳が飛んできた。
早い！
とっさに自分の右手をあげ、相手の拳にあてガードした。
とても早い攻撃。これじゃ交すのがやっとだ。
なんとかスキを見つけ、攻撃した。
しかし、軽く避けられ、背後に回られ右手のパンチをお見舞いされてしまった。
そして、現在。ケアティルの方をチラッと見ると、やはりケアティルが押されていた。
こっちも相当ヤバかった。
相手は、完全なる体術士。僕もそうだが、レベルが違いすぎた。
「そろそろ、観念したらどうです？」
「そうしたらリナムを持って行くんだろ？」
「ご名答」
「だったら諦めるワケが・・・・無いだろ！」
僕は思いっきり突進し、メガネ男に当たっていった。
「無駄だ」
さっきの優しそうな声とは裏腹に、とても冷たい、体が冷えるような声が自分の耳に、確かに入り込んだ。
メガネ男は高速移動のような動きで僕の目の前に立った。あまりに早過ぎた為、一瞬ビックリしてしまったため、動きが止まってしまった。
「はッ」
メガネ男の右手が僕の腹に入った。
そして、僕は倒れこんでしまった。
「・・・かはッ・・・・・・」
「・・・・無駄ですよ。貴方がどう足掻こうと言えど、私は倒せません。いくら、プリースト言えども、所詮は人間。私達モンスターに勝てる輩ではないのです。そう。あの剣士だって、いくら強かったとしても、ガルバに勝つコトは不可能。この世界は機械などができて、昔に比べてかなり発展している。しかし、人間は衰えていく・・・・」
「・・・・・・」
やっとの思いで、メガネ男を見上げるコトができた。
「千年前の人間の方が、よっぽど手ごたえがありましたよ。・・・・・しかし、今の人間はこうだ。・・・・まったく、失望させてくれるよ・・・・・」
「・・・・・千年前・・・・！？」
「そうですよ。私は千年も前から生きているんですよ。千年前の人間と戦った時、あの人間達は神をも超えるかもしれないと思わせる力を持っているのかと私は思いましたよ。だが、千年後。今。なぜこんなにも人間が弱いか？」
「・・・・・・・」
「それは、文明が発展してきた故に、機械、兵器に頼り、己を磨くコトを忘れているから。文明を築き、自信の力を磨こうとしない。これが千年前と、今との違い。誰だって、特訓すれば物凄く強くなれる。なれない者など存在しない。今が、千年前と同じだったら、貴方はこんな無様な格好はしていなかったでしょうね。しかし、こう弱くなってもらえば私達モンスターにとっては都合がいい話なのですが・・・・・・」
こうやって話している内にも、ケアティルは戦っている。
自分も頑張らなくてはと、自分にいいつけ、立ち上がった。よろけてはしまったが、リナムを守らなければとも思い、なんとか立ち上がった。
「まだちゃんと立てる状態でも無いのに・・・・よっぽどやられるのが好きのようで」
・・・・・・・・・。
「・・・・・悪魔を守る・・・・か。まるで貴方は悪魔のしもべですね」
笑みを浮かべ、メガネ男は言った。
「何とでも言えばいいさ・・・・・・」
メガネ男が言った通り、まだ立っていられる程回復してはいない。
ヒールをしたとしても、傷が癒されるだけで、傷を負わずしての痛みは治癒できない。
「・・・・・・そろそろ終わりにしましょうか」
もうダメか・・・・・。
「おっと、私の名前をまだ言っていませんでしたね。私の名前はセネア。地獄・・・いや、天国で精々私の名前を呼んで恨んでるといいですよ」
・・・・僕は、もうその時、死を覚悟していた。リナムを守るコトができなかったのは心残りだった。
・・・・・・・・・・・・。
バサバサバサ！！！
「なッ！？なんだコレは！？」
死を覚悟し、目を瞑っていた僕は、ゆっくりと瞼を開いた。
すると、一匹の鷹がセネアを襲っている風景を目の当たりにした。
セネアは腕を振るい、鷹を追い払った。すると鷹は、逃げていった。
・・・・・・・・いや違う。・・・・主人の下へと戻って行った・・・・・・？
そこには、一人の男がいた。弓矢を持っているコトから、弓手だと判断した。
「何者ですか。いきなり鷹を使って飛び込んでくるとは・・・・・・行儀が悪いですね」
「俺が指示したんじゃない」
知らぬ男が、弓を構える体勢に入った。
「邪魔をする気ですね？」
セネアが笑って男に言った。
「・・・・風歌蒼（ふうかそう）がそこの奴等をどうしても助けたいと言うからな・・・・」
風歌蒼・・・・？
あの鷹の名前？きっとそうだろう。
「・・・・・まあいいでしょう。貴方なら後でいつでも殺れる。まずは邪魔者から消しときましょうか」
セネアは男に向って走り出した。
左手の一発目の攻撃。男は軽々と交わした。続いて右手。これも同じだ。
いくらやっても攻撃は避けられていた。
「なかなかやりますね」
そしてセネアはバックステップし後ろに下がった。
「ガルバ！！そろそろ帰りましょう」
向こうでケアティルと戦っていたガルバがバックステップし、ケアティルと距離を離した。
「え？帰るンか？」
「とんだ邪魔者が出てきましたからね。一時退却です」
「しょうがあらへんな〜。おい兄ちゃん！ケリは今度つけようで！」
セネアとガルバは互いに歩き近づいた。
「テレポート」
セネアがテレポートと言うと、二人の姿が消えてしまった。・・・・逃げたのだ。
大分痛みも無くなり、男の方へ近寄った。
ケアティルも剣をサヤの中に収め、こちらに向って歩いてきた。
「助かったよ。ありがとう」
「大したコトはしていない。それでは俺は行かせてもらう」
「おい、お前」
ケアティルが男を呼び止めた。
男は歩くのを止め、ケアティルの方を向いた。
「何か？」
「お前、何者だ」
「・・・・・俺はラバース＝ジェノポック。そして、俺相棒の風歌蒼。それじゃあ俺は今度こそ行かせてもらう」
そう言うと、男・・・・いや、ラバースは僕達が歩いてきた方向。プロンテラの方へと歩いて行った。
すでにリナムは隠れていた場所からいなくなり、僕の隣にいた。
「大丈夫だったかい？リナム」
「うん。キリエルお兄ちゃんが守ってくれたオカゲで全然大丈夫だったよ」
「そう・・・よかった・・・・・・。それじゃ、帰ろうか」
「うん！」
僕達は、傷を負ったものの、イズルードへと帰って行った。
これから、セネアとガルバはリナムを狙って僕達の前にまた姿を現すだろう。
その時は・・・・僕がリナムを守らなくてはならない。そう心に刻み込んだ。
リナムの過去がどうであろうと、リナムが何者だろうと、命に代えても・・・・・守ると・・・・。
暖かいような・・・・冷たいような・・・・そんな生温い風が、横切った・・・・・・。
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なんかとんでもないことになってまいりました！ 『キリエルの話 第四話』終了なのです！
セネアとガルバ・・・強敵が出てきましたー！
さぁキリエル！ 兎にも角にも、死ぬ気でリナムを守りなさい！
そう！ 過去なんぞ無関係！
・・・ところで、ハンターって強いですよねぇ・・・