僕ハ人形。

心を持たナい、空っぽの人形。




〜人形〜




僕のご主人様は、僕を作った。

『れああいてむ』というものを、多く手に入れるために。

それがどんな物なのかは、わからない。

ただ、それを手に入れる為だけに・・・。

僕の名前はある。

しかし、人形である僕には必要のない物だ。


―さあ、今日も稼いでもらうぞ・・・。


頭に響くご主人様の命令。

僕は旅立った。



大きな赤い虫が、蠢いている。

僕は、常にその虫だけを狙えと命令されている。

その虫が、僕に向かってきた。僕は剣を振るう。


(ザン・・・)


虫は生き絶えた。何か紙のような物が落ちていた。

そこには、今倒した虫の絵が描かれていた。

今まで見た事のない物。

きっとこれが、『れああいてむ』というものなのだろう。



少し離れたところに、炎の柱がたっていた。

さきほどの赤い虫が、炎の柱の先に向かおうとしている。

その先には人間がいた。確か、ウィザードという職業の人間。

僕は迷いを持たない人形。

だから、その赤い虫を攻撃した。

ダメージを受けていたため、赤い虫は先程より呆気なく生き絶えた。


―現れたな・・・。


ウィザードが何か言っている。

僕は虫が落とした宝石を拾う。


―これ以上、貴様の好きにはさせん!


ウィザードがまた何か言っている。

そして何か唱えている。周りには誰もいない。

新たに虫を探しに行こうとした次の瞬間、僕の身体は氷漬けになっていた。

さらに、電撃が身体を吹き飛ばし、僕は動けなくなった。

痛みというものは無い。人形だから。


―確かに、駆除依頼のあった人形の一体ですね。


さっきのウィザードのものとは違う声がした。

白い服を着ている人間が二人。


―人形駆除に協力していただき、ありがとうございます。

―こちらこそ、協力させてもらい、感謝しています。


白い服の人間の一人が、僕に近づいてきた。


―では、我々はこの人形を始末した後、パトロールに戻ります。

―もし人形を見つけられましたら、その時はまたお願いします。我々の仲間がすぐに
駆けつけますので。

―はい。お二人とも、お気をつけて。



ウィザードが去っていった。

そして、白い服をきた二人の人間が、近づいてきた。


―近々、お前の主人は罰せられる。

―心持たぬ人形よ。闇に消えるがいい。


白い服の人間の剣が、僕を貫いた。

僕というものが、どんどん消滅していく。

人間でいう、『死』というものなのだろう。

人間なら誰でも、『死』の恐怖を感じるのだろう。

だけど、僕は何も感じない。

僕は心を持たない、空っぽの人形だから。

一瞬、青い空が見えた。

そして永遠の闇が訪れる。



もう何モ・・・見えない・・・聞コえなイ・・・。




〜終〜


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はい、黒ラックです。

テーマが『空』ということでしたが・・・字だけですやん(汗

作中に出てきた人形、ウィザード、白い服(ry)ですが、

人形はBOT、白(ry)はゲームマスターという風にしております。

ウィザードは特殊で、BOTを攻撃可能、GMを直接呼ぶ事ができます。

・・・実際にできたらどれだけ嬉しいか(ぉ


自分なりに、BOTからの視点を考えてみましたが、

実際、BOTは何も考えて(れ)ないでしょうな(ぉ