「もし私に勝つ事ができなければ・・・別れてもらう！！」

「・・・いいでしょう」




幸せのための戦い
〜ＶＳ　great father〜





それは、数ヶ月前のクリスマス前にさかのぼる。

ルティエでリアにプロポーズしたフィースは、

クリスマス・イブに結婚式を挙げる事に、メンバー全員から承諾をもらった。

「みんな、嫌な顔をするどころか喜んでくれてたね」

「そうですね。これで、みなさんへの挨拶は終わりましたね」

「いや、まだ挨拶していない人達がいるよ？」

「？」

フィースの一言に、リアは不思議そうな表情を浮かべた。

「リアの家族さ。式に来れる来れないに関係なく、
直接挨拶しておいたほうがいいよね？」

「あ、そうですね。でも、お父さんが許してくれるか・・・」

「あー・・・リアのお父さん、リアの事を凄く大事に育てたのがよくわかるから・・・」


フィースは複雑な顔をした。

それもその筈である。

二人が付き合い始めた時、家族にフィースを紹介するため、

リアはフィースを連れ、実家へ挨拶に行った。

その際、リアの母（マリィ）や妹（リーナ）には好かれたのだが、

父親（ヴァロン）はフィースを紹介されるなりいきなり斬りかかってきた。

〜回想〜

父『とりゃぁぁぁぁぁ！！！』

フ『！』

（ギィン！）

父『な・・・私の剣を止めただと・・・！？』

フ『いきなり何するんですか！？』

（ゴォォン・・・）

父『ゴフッ・・・』

母『そうですよ、あなた？せっかくリアが素敵な恋人さんを連れてきたのに・・・』

リ『お、お母さん・・・』

〜回想終わり〜

「あの時のお母さん、頼もしいのか怖かったのかわかりませんでした・・・」

「人は見かけによらないね」

「フィースさんなら止め「多分、無理・・・」・・・そうですか」

フィースはリアの言葉を遮った。

言葉を遮られたのか、それとも無理と言われたからなのか、

リアは少し残念そうにしている。

「まず気配を感じなかったし、フライパンの一撃で気絶させたし・・・」

「お父さんが言うには、あの後綺麗な川と綺麗なお花畑が見えたそうです」

「・・・」

二人は青ざめた。

そしてマリィには勝てないと悟った。

「じゃ、じゃあ、そろそろ行こうか」

「は、はい」

「そうだ。リア」

「なんでしょう？」

「リアの事を大好きな気持ちは、誰にも負けない自信があるから。
当然、君の家族にもね」

「あ、ありがとうございます・・・」




「わりいな、俺達まで付いてきちまって・・・」

「いや、気にしなくていいさ」

「エリスさんもすいません・・・」

「いいのよ。前に言ってた、
リアの家にある古代文字らしき模様が気になるし。
（ま、本音を言えばどんな騒動が起こるかの方が楽しみなんだけどね）」

フィースの親友ウェインと、その姉エリスは二人についてきていた。

ウェインは楽しそうだからという理由で。

エリスはリアの家にある古代文字らしき模様の調査・解読という理由で。

しかし、エリスはそれ以上に騒動を楽しみたいと言う理由が含まれている事を、
誰も知る者はいなかった・・・。

「しっかしまあ、いきなり斬りかかってくるようなオヤジさんなんてホントにいるのかねぇ・・・」

「リアの事を信じていないわけじゃないけど、
私もそういう人がいるとは思えないわね・・・」

道中、二人の姉弟はフィースとリアからこれまでの経緯を聞いていたが、

とても信じられないような（又は呆れたような）顔をしていた。

「お恥ずかしながら・・・いるんです・・・」

「実際に見たらよ〜くわかると思うよ・・・」



「・・・ほんとにいやがった」

そう言ったのはウェイン。

「・・・さて、古代文字は・・・」

そう現実逃避をしようとしているエリス。

それもそのはず。

リアの家に着き、ドアを開けた瞬間、叫び声と共に男が斬りかかってきたからだ。

「前と全く同じだね・・・」

「そうですね・・・」

斬りかかってきた男は、リアの父親ヴァロンだった。

彼はまた気絶している。

経緯を表すと、

リアの家に着く→ドアをノック、開ける→ヴァロン、リアを確認（喜ぶ）

→フィースを確認、斬りかかる（０．３秒）→フィース、ヴァロンの剣を止める

→マリィ、フライパンでヴァロンの頭をどつく→ヴァロン、気絶。

という感じである。


「・・・で、今日は何の用だね・・・」

「ん〜・・・じゃあ、わかりやすくハッキリ言います。
娘さんを、リアを僕にください」

その瞬間、ヴァロンの時は止まった。

「フィ、フィースさん・・・」（リア）
「そんな馬鹿正直に言うんかい・・・」（ウェイン）
「フィースらしいわねぇ・・・」（エリス）
「あらあら」（マリィ）
「・・・？」（リーナ）

「娘は渡さんぞぉぉぉぉぉ！！！！」

「うわっ！」

（ブォン）

フィースはヴァロンの剣をかわした。

「どうしてもリアが欲しいのならば、私と戦ってもらおう！」

「！」

「君が勝てば、リアをやろう。
だが、私に勝つ事ができなければ・・・別れてもらう！！」

「・・・いいでしょう」

そして剣に手をかけるフィース。

今、リアをかけた二人の戦いが始まろうとしていた。


「・・・ムチャクチャなオッサンだな・・・」

と、ウェインが喋る。

「それだけ、リアを大事に育ててきたんです。
リアが生まれた時、本当に嬉しそうでしたから・・・」

マリィが答える。こんな時だというのに、彼女はにこやかだった。

「・・・？姉貴はどこ行った？
これからおもしろそう・・・じゃなくてフィースとリアの運命をかけた戦いが始まるってのに・・・」

「エリスさんなら、古代文字を解読するとか言っていましたよ？」

リアが答える。

「なるほど・・・」

「あと、『悪いけど、結果が見えてるから』とも仰っていました」

「ほうほう。で、おばさんはどう見てるんだ？
リアはまあ、何となく結果がわかるだろうし。」

「あの人には言い難いのですが、フィースさんでしょうね。
あの人ももうわかっているはずなのに、それでもリアを手放したくないのでしょうね」


マリィははっきりと答えた。

「そんなもんかねぇ・・・お、始まるぜ？」

「パパー、フィースお兄ちゃーん、がんばれー」


「ありがとう、未来の妹！」

「リアは渡さーん！」

フィースが余所見しているその隙を狙い、

ヴァロンが斬りかかった。

「お父さん（パパ）、卑怯・・・」

二人の姉妹は呆れている。

「ま、やると思ったけどな・・・」

ウェインはこうなるとわかっていたようだ。

「せっかくのおめでたい日だから、
今日のお夕飯は、豪勢にしなくちゃ」

マリィはハナからヴァロンが勝つとは思っていなかった（酷

「それじゃ、本気で行きますよ！！はぁぁぁ！！！」

（ブォォン！）

「うぉぉ！」

フィースは剣を交えたまま、ヴァロンを吹き飛ばし、

ヴァロンは地面に倒れた。

「まだまだ！！大事な娘を渡すものか！」

「僕だって、リアと別れたくないですからね。
リアに、絶対幸せにするって誓ったんだ！！」


「フィースさん・・・」

「おうおう、言ってくれるねぇ」

「ステキな恋人さんを持ったわね、リア」

戦いはフィースが押している。

ヴァロンの腕はかなりのものなのだが、フィースはそれをさらに上回っていた。

「それにしてもフィースさん、本当にお強いですね〜。
あの人の腕もかなりのもので、訓練は欠かしていなかったのですが・・・」

「あいつの強さはケタ外れなもんでね。
オッサンの剣もとっくに見切っているハズさ」


「まだ・・・まだ負けん！」

お互いに体力は消耗していたが、その差は激しく、

フィースはまだ余裕があるのだが、

ヴァロンはすでに立っているのがやっとであった。

「ヴァロンさん、そろそろ終わらせてもらいます！！」

「何っ！」

フィースの剣に炎が集まる。

そして高く飛び上がり、一気に剣を振り下ろした。

「マグナムブレイク！！」

（ドゴォォォ！）

「ぐあぁぁ・・・」

爆風でヴァロンの体は浮かび上がり、地面に叩き付けられた。

（ドサッ・・・）

「そこまで！！勝者フィース！」

ウェインが戦いの終わりを告げた。

「ふぅ・・・」

フィースは一息をつく。

「フィースさん、勝ちましたね！」

リアが駆け寄ってくる。

「ああ、これで結婚を認めてもらえるかな？」

「やったな、フィース」

後から歩いて来るウェイン。

「ああ」

「お兄ちゃーん、おめでとー♪」

リーナが駆け寄り、フィースに抱きついた

「ありがとう、リーナちゃん」

「フィースさん、リアの事、よろしくお願いしますね」

「はい！」

フィースの勝利に喜ぶ全員。


そして・・・。


「うぅ・・・」

ヴァロンはよろめきながらも、立ち上がった。

「ヴァロンさん・・・僕の勝ちです」

「そうだな・・・私の負けだよ。力も、想いもな・・・」

「お父さん」

リアがヴァロンに話しかけた。

「私は、お父さんやお母さん、リーナの事が大好きです」

「リア・・・」

「でも私は、それ以上にフィースさんの事が大好きなんです。愛しています。
私は、フィースさんと一緒に幸せになりたい・・・」

「・・・リアよ。私は彼と約束をし、戦い、そして負けた。
お前の思うようにしてくれれば、私はそれでいい」

「では、約束通り、リアとの結婚を認めてもらえますね？」

「ああ。ただ・・・できればもう一つ条件を付けたいのだが・・・」

ヴァロンは、やや控えめに言った。

「何でしょう？」

「式は、早めにしてくれないか？
リアの花嫁姿を早く見たいのだ」

「はい、それは大丈夫です。
今度のクリスマスに式を挙げますので」

「ふ・・・ははっ、そうか、それはいい。
気に入ったよ、フィース君。リアを、よろしく頼む」

「はい・・・必ずリアを幸せにします！」


「さあ、みなさん、今日は泊まっていってくださいな。
腕によりをかけて、ごちそうしますよ〜♪」

マリィが呼びかけ、皆が答え、家に入っていった。



そして夜・・・。

「フィースさん、もし・・・もし負けていたらって考えてはいなかったんですか？」

「リア？」

「もし負けていたら、私達は別れなくてはいけませんでした。
フィースさんの事だから、きっと約束を守るはずです・・・」

フィースはリアをそっと抱き寄せる。

「・・・僕はね、負ける気なんて全然しなかったよ。
たとえ相手が誰であってもね」

「フィースさん・・・」

「リアを悲しませたくないし、
これから先もずっとリアと一緒にいたいから。
そう思うだけで、力が湧いてくるんだ。
リア、君はどうだい？」

「はい。私もフィースさんと同じです。
これから先もずっと、フィースさんと一緒にいたいです」

「ありがとう。それじゃあ、これからもよろしく、リア！」

「はい！」






「あ、子供が生まれたら名前はどうする？」

「フィ、フィースさん・・・」

そんな会話が後日交わされたとか交わされなかったとか。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

というわけで、今回も読んでくださり感謝デス。

「ねえ、ちょっと・・・」

エ、エリスさん・・・ナンデショウ？

「いくら古代文字の解読してたからっていっても、
私の出番、後半から全く無かったんだけど・・・どういうことかしら？」

・・・さらばっ！！

「逃がさないわよ♪（超満面の笑顔で）」

アワワワ・・・・・・

（ＭＳ、ＳＧ、ＨＤ、ＬＯＶ）

ギャァァァァ・・・！！・・・・・・ガクリ



・・・とまあ、前回のように、フィースとリアの話を使いました。
自分の考えたキャラは、できるだけ使いたいですからねぇ。

本編を通してみると、フィースとリアの結婚前の話だったわけですが・・・。
リアの親父さん・・・あんた無茶苦茶ですって（ぉ
ああ、終わり方がえらい半端・・・。

まあ・・・いつものように設定：

フィース：
本編の主人公。詳細は前回のＳＳ（プロポーズ）の文章を参照（待て

リア：
フィースの恋人。詳細は（以下省略）。

リーナ：
リアの妹。フィースのことを実の兄のように慕っている。
年齢は小学校低学年くらい。

ヴァロン：
リアとリーナの父親。妻マリィと娘二人を溺愛しており、
嫁には絶対出さないつもりだった。
が、フィースの強さを目にし、心が変わった。

マリィ：
ヴァロンの妻で、リアとリーナの母親。
おしとやかだが、本編にあるようにヴァロンを止める際は容赦ない。
昔はウィザードだったが、何をどう思ったのか腕力（ｓｔｒ）ばかり上げていた。
そのせいか、細腕ながらその腕から振り下ろすフライパンは全ての者を気絶させる。
そして、時に綺麗な川と綺麗なお花畑がある場所に連れて行ってくれる。

フィースやリア、ウェイン等が所属しているギルド：
Ｅｔｅｒｎａｌ　Ｗｉｎｇｓ（永遠の翼）。
その職ではトップクラスの者達が何故か集まってくる。
ギルドマスターはマスター（本名は別に有り）。
メンバー全員が仲が良く、個性ゆたかである。
ちなみに殆ど二次職。
最初のメンバーはマスター、エリス、フィース、ウェインで、
後のメンバーが集まり始め、現時点で一番遅く入ったのはリア。
機会があれば各メンバーの紹介も・・・。

おまけ設定・
フィリア：
フィースとリアの間に生まれた女の子。
髪の色はリアに似ている（ピンク色）。
次の話で少し出てくるかも・・・。

とまあ・・・投稿遅れちったです。
勘弁してください＿|￣|○
次なんか改行しなくても長くなるっぽい・・・