1年中、雪が降る街ルティエ。
クリスマスが近づき、賑わってきたこの街に、
二人の若者が訪れた。
〜プロポーズ〜
「はぁ・・・相変わらず寒いですね・・・」
少女が、自分の手に息を吹きかけた。
少女の名はリア。
二年に一度開催される、
アーチャー・ハンター選手権大会のアーチャー部門にて優勝を飾った、
心優しきアーチャー。
「そうだね・・・リアはアーチャーで、その格好は寒そうだし、特に風邪を引かないように注意しないと」
少年の名はフィース。
8ヶ月前、アーチャー・ハンター選手権大会にて、リアのパートナーを勤めた騎士。
彼は当時、仲間と共に観戦に来ていた。
そして、パートナーが見つからず、困っていたリアを見つけ、彼女に声をかけた。
それが二人の出会いだった。
大会中、二人は少しずつ惹かれ合い、
大会終了後、フィースがリアに告白し、二人は付き合い始めた。
そして今、彼らの所属するギルドのパーティー会場探し(+デート)として、
カップルに人気のあるルティエに来ている。
「ほら、これを着て温まらないと」
フィースは道具袋から出したロングコートを、
リアのアーチャーの服の上に着せた。
「あ、ありがとうございます・・・」
「今年のクリスマスはルティエで過ごそうって決まったからね。
パーティー用の会場や、宿を調べてみないと。
・・・まあ、それは表向きで、本当はリアとデートしたかったから・・・ね」
「え、あ、あの・・・」
リアの顔はさらに赤くなった。
フィースという少年は、ストレートに言う。
今のようにリアの顔を赤くすることは、ざらである。
「それじゃ、行こうか」
「は、はい!」
それからしばらくの間、二人は会場を調べて回っていた。
そして調べ終わった後、二人は喫茶店に入っていた。
「さて、いろいろ見て回ったけど・・・どこがいいかな?」
「そうですね・・・広さとしては、三番目に回った所が良かったかなって思います。
ただ、貸切代金が少し高くて・・・」
「五番目の所は三番目と対照的だね。
まあ、騒ぐ分には少し狭い気もするけど・・・でも安いよ」
「え?十分広いと思いますけど・・・」
「ウェインがね・・・妙にハイテンションになるんだ。
しかも未成年なのに酒入って、暴れだすんだ・・・」
そういってフィースは、どこか遠い目になった。
「・・・」
「で、それを止められるのが僕かマスターかエリスさんだけなんだ・・・」
「ふふ・・・本気を出した時と同じなんですね」
リアは苦笑いを浮かべる他なかった。
「うん。しかも酔ってるから動きがフラフラで読み辛いし、
前にも一回、突然動きが止まったと思ったら下向いて・・・いや、これ以上は言えない・・・」
「はあ・・・そうですか」
「っと、話が脱線したね。
そろそろ会場を決めようか」
「はい」
「・・・よし、決まった!」
「はい。ここなら楽しいパーティーができそうですね。
ここの宿もとても過ごしやすそうです」
「それじゃ、そろそろ出ようか・・・あ、リア」
「何でしょう?」
「口の周り、まだクリームが付いてるよ?」
「あ・・・やだ、私ったら・・・取れました?」
「まだ少し付いてる・・・ん」
「!!!!」
フィースは、リアの口に口付けた。
その時、店の中から大歓声が起こった。
『おお、あの騎士やるじゃん!』
『まあ、あのアーチャーの子、真っ赤になっちゃって・・・』
『ヒューヒュー!』
彼はリアといる時、突然今のような行動を起こす事がある。
リアの事を本当に愛しく想っているからこその行動であった。
「あああああ、あの、フィ、フィースさん、い、今、今何を・・・」
「うん、クリームは取れたね」
「ででで、でも、こ、こんな所でい、いきなり・・・キスだなんて・・・」
「ん〜・・・リアの事大好きだから」
「!!!??」
笑顔であっさりと言い放つフィース。
そしてさらに真っ赤になる、リアの顔。
『うっわ・・・アツアツだねぇ・・・』
『あらあら、あの子さらに赤くなっちゃったわ』
『でもあの二人、すっごい幸せそうだよな〜・・・』
と周りが話している事を、二人は知る由も無かった。
「は、早く宿に行きますよ!」
「あ、ああ・・・」
リアは恥ずかしさからフィースを強引に引っ張り、
喫茶店から出た。
ちなみに代金は、フィースが払っていた。
「もう・・・恥ずかしかったんですからね?」
「ごめん・・・リアが可愛かったから、つい・・・」
「全く・・・でも、嬉しかったです・・・」
最後の呟きは、フィースには聞こえなかった。
「ん?何か言った?」
「い、いえ、何も・・・ちょっと疲れました・・・」
「そうだね。リアは寝てなよ。僕はちょっと調べ物するから」
「でしたら、私も手伝います」
「大丈夫。リアはゆっくり休んでてもいいよ」
「はい・・・では、おやすみなさい・・・あの」
「なんだい?」
「私が眠るまで、その・・・手を握っててもらえますか・・・?」
「うん、いいよ」
「ありがとうございます。それじゃあ、少しだけ、おやすみなさい・・・」
しばらくして、リアは眠りに付いた。
「・・・本当は、僕も恥ずかしかったんだけどね。
それじゃ、調べ物するかな・・・」
そういってフィースは本を取り出し、読み始めた。
「・・・ふむふむ・・・これが必要なのか・・・あとこれと・・・」
フィースは片手で本を読みつつ、もう片方の手はリアの手を握ったままでいる。
「みんな承諾してくれるかな・・・?」
(コンコン)
その時、部屋のドアがノックされた。
「はい、どうぞ」
「入るぞ、フィース」
部屋に入ってきたのは、マスターだった。
「あれ?マスターじゃないか。どうしたんだい?」
「いや、パーティー会場は決まったのかと思ってな。
あと、ワープポータルにルティエを記憶させておこうと思い、ここに来た」
「会場なら決まったよ。あ、ちょうど相談したい事があるんだ」
「何だ?会場の事か?」
「うん、それもあるけど、もう一つ。実は・・・」
フィースは眠っているリアを起こさないよう、小声で話した。
「なるほど・・・それは良いアイデアだな。
わかった。皆には私から話しておこう。
じゃあ、私はこれで失礼する。ああ、会場の資料は持って帰るが良いか?」
「いいよ。あ、お茶でも飲んでいくかい?」
「いや、いいんだ。
すまなかったな。せっかく二人きりでいたというのに」
「いや、こっちこそお茶もださないでごめん。今度入れるよ」
「じゃあ、明日には帰ってくるようにな」
「わかった」
そしてマスターは帰っていった。
それから少しして、リアは目を覚ました。
辺りはもう真っ暗になっている。
「ふぁ・・・おはようございます・・・」
「おはよう、リア。よく眠れたかい?」
「はい。・・・フィースさん、ずっと手を握ってくださったんですね・・・」
「うん。リアの手、暖かくて、離したくなくってさ」
「あ、ありがとうございます・・・フィースさんの手も、暖かいです・・・」
フィースは両手でリアの手を握った。
「あ・・・」
「もっと暖かくなったかな?」
フィースは笑顔で話しかけた。
「は、はい」
その後二人は夕食を取り、風呂(男女別)に入り、
部屋に戻っていった。
二人で肩を寄せ合い、今日の出来事を話しているうち、
突如フィースはリアを抱き寄せた。
「フィ、フィースさん?」
「リア・・・聞いてくれるかい?」
「・・・はい、何でしょうか?」
「僕の夢・・・なんだけどね。今三つあるんだ」
「夢、ですか?」
「うん。まあ、願いとも取れるんだけどね。
一つ目は、世界一の騎士になる事。
二つ目は、リアをお嫁さんに貰う事」
「え・・・?」
突然の告白に、リアは驚いた。
「三つ目は、リアといつまでも一緒に幸せに暮らす事」
「フィース、さん・・・」
「リア・・・僕と結婚してくれるかい?」
「あ、あの・・・その・・・私は構いませんけど、フィースさんは・・・私で良いんですか?」
「ああ。リアが良いんだ。絶対に君を幸せにする」
「は・・・はい!よろしく、お願いします!」
リアはフィースに抱きつき、フィースはリアを抱き留めた。
「よかった・・・それじゃあ、これからもよろしく、リア」
「はい。フィースさん・・・これからもよろしくお願いします♪」
それから二週間後、クリスマスパーティーと共に、
盛大な結婚式が執り行われた。
二人は少し恥ずかしそうだったが、とても幸せそうな顔をしていた。
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後書き:
んー・・・話の繋がりが無いなぁ・・・。終わりも変。
良く書こうとしても、どんどん変に・・・。
サモナイとか書いてた頃は、
ED後という設定でまだ良い感じだった(気がする)んですけどねぇ・・・。
・・・うん、自分でもあの頃の方が良かった(ぉ
ノートに下書きとかしてましたし・・・。
ただラブラブとしてるのが少しでも伝わればいいなという感じで書きました。
まあ、ヒマなので少し出てきた人物(名前だけ含む)や設定を簡単に説明・・・
(単に自分が話したいだけだったりする罠)
アーチャー・ハンター選手権大会:
毎年、プロンテラで行われている世界大会で、両部門が観戦できるように日を分けている。
参加にはパートナーが必要。
プリーストやアコライトのパートナーが有利に見えるが、
どの職をパートナーにしても差が無いように様々な競技が組み込まれている。
期間は両部門とも2日間。
バード・ダンサーは、歌唱大会やダンス大会、
合奏大会等があるので含まれない(『弓を使えるのに』という不満も出ている(ローグも
ウェイン:
フィースとリアの仲間。ハンター。
アーチャー・ハンター選手権大会のアーチャー部門を、
歴代でもただ一人だけ三連覇した世界最強の弓手。
リアがフィースと出会い、アーチャー部門で優勝したその年にハンター部門を初参加で優勝した。
後の設定では、ハンター部門も三連覇する。
本気を出した彼に勝てる人間は職を問わず限られている。
酒が入ると暴れだす。面倒見が良い性格。
なお、彼を一言で表すとバ○である(ぉ
だからこそ出したかった・・・。
マスター:
フィースとリアが所属するギルドのマスター。
本名は別にあるが、『マスター』と親しみを込めて呼ばれる。
ちなみに男プリースト。いつも冷静。
エリス:
ウェインの姉。ウィザード。
性格は陽気で、怒ると怖い。しかも笑顔で怒るから、余計に怖い。
非常に頭が良く、古代文字も読める(解読できる)(マスターも同様)。
本気を出したウェインに勝てる限られた者:
実はフィース、マスター、エリスのみ。
フィースが調べていた&マスターに相談していた事:
前者は結婚式に必要な物。
後者はクリスマス・イブの夜にパーティーと同時に式を挙げれるかの相談。
年齢設定:
フィース、ウェイン、マスターは18歳で、エリスは21歳。
(全員幼馴染み)
リアは17歳。
ま、クリスマスの時点ですでに結婚してるというのが元々の設定なわけでして・・・。
機会があれば、他のメンバーの設定も書きたいですのぅ・・・。
・・・いかん、後書きの方が本編より楽しく書けた!(ぇ