昨日も居た　　　　　一昨日も居た








今日も　明日も　明後日も











君と一緒に居たい















＜幼き頃から＞








「はぁぁぁぁっ！！ボーリングバッシュ！！」

ドゴーン！　ガラガラガラ・・・・・・

実体の無い、鎧騎士レイドリックが崩れ落ちる。

此処はグラストヘイム騎士団。冒険者共の集う場所。

俺は　その冒険者共の1人だ。

「ふぅー・・・っ」

収集品を拾い、束の間の休息を摂ろうと思ったその時だった。

――――――ッ！！

金属と金属がぶつかり合うような音の後に、何かが崩れ落ちる音。

音源を見るとそこには・・・・・・

「深淵の騎士・・・・・・とプリーストが1人・・・」

成る程さっきの音はセーフティウォールが崩れる音か。

「なんて1人で納得してる場合じゃなさそうだ・・・苦戦してる。」

戦況は明らかにプリーストさんが不利。ダメージを喰らっては回復、喰らっては回復を繰り返しているようだ。

俺は深淵の騎士とプリーストさんに近付き、

「加勢する。援護を。」

拒否らないところを了承と判断した俺はプリーストさんの顔を見ずに、すぐさまそれに斬りかかる

・・・・・・

数分してガラガラ・・・という音を立てて崩れ落ちるそれ。

「ありがとうございます。助かりました。」

という声が後ろから聞こえる。

俺は後ろに振り向きながら

「いやいや。取り敢えずお疲れさん。支援上手かっ――・・・あーっ！？」

「えーっ！？」

そこには　

忘れられない顔があった。








――――俺の両親はプロンテラ騎兵隊に属していたが、俺の家はあまり裕福ではなかった。

だが、友達は多かった。彼女はその中で一番とも言える友達だった。

殆ど毎日という時間を、彼女と一緒に過ごしていた。今思えば、恋心を抱いていたのかもしれない。

ただ　　　　彼女と居たかった。

だが、彼女は引っ越すことになってしまった。

「また・・・・・・会える・・・よね・・・・・？」

彼女の問いかけに頷くことしか出来なかった。

返事をすることが出来なかった。

口から漏れる嗚咽で返事をすることが出来なかった。

――――そのとき。

ちゅっ

彼女が俺の頬にキスしてきた。

「哀しくならないおまじないだよ。じゃあまた会おうね。約束だよ。」

瞳に涙を浮かべた彼女が笑いながら、俺に言っていた。

俺も　　　笑っていた――――





「―――久しぶり、だな。プリーストになってたんだ。おめでとう。」

「ありがと。でも　貴方も強かったね。かっこよかったよ。」

「そりゃどうも。なぁあのさ・・・・・・」

ふと、彼女が俺の言葉を遮り、

「立ち話もなんだし、プロ南のベンチにでも座って喋らない？」

「・・・そうしようか。」

「じゃあ　ポタ出まーす。」

彼女が呪文を唱えるとポータルが出、それに入るといつものプロンテラ南の風景があらわれた。



「ただいまーっ」

彼女が見知らぬ顔に声をかけた。ギルドメンバーらしい。

近くにいた男ウィザードが

「おー　おかえりー。・・・そっちの騎士さんは？」

隣に居た女ローグが

「やるねー。彼氏？」

「ちちちちちっ　違いますよっ　幼馴染ですっ」

と彼女が顔を赤らめながら言う。

「へぇ？じゃあ取り敢えず、過去の惚気話から聞かせてもらおうか。」

「も〜〜っっ！！そんなんじゃないですっ」

「騎士さんはギルド未加入？」

「え？あ・・・あぁ。まぁ・・・」

「だったらうちに入らない？」

「そーだよ。そーした方がこの子も喜ぶだろうし・・・」

「っっさっきから何を言ってるんですかぁっ！！」

「えー？いて欲しくないの？」

「そ・・・っそんなんじゃないですけど・・・・・・っ」

「はは。あー。えっと誘ってくれる事嬉しい限りなんだが、今のところは控えさせて頂く。」

「んー。そうかー。まぁいつもこの辺に溜まってるから、いつでも来てくれ」

「そうそう。この子が・・・・・・」

「ホーリーライトーッ！！」

ドカーンッ

あー。女ローグが・・・・・・。

「あーあ・・・。」

「・・・・・・南無。」

「・・・ねね。ちょっとこっちにきて。」

彼女が俺の腕を引っ張る。

「あ？あ・・・あぁ。」

離れたところまで歩いていく俺達。後ろのほうで―――

「お。愛の逃避行？」

「懲りないね・・・・・・」

・・・彼女に聞こえてないことを祈るばかり。





人気のない気の茂るところまで引っ張って連れてこられた。

そして彼女が口を開ける―――

「・・・あの・・・さ」

「何？」

「私が引っ越すときに・・・・・・言ったこと　したこと覚えて・・・る？」

「・・・覚えてるさ」

忘れるわけがない。

「・・・・・・あんなコト、好きな人にしかしないからね。」

「・・・・・・え？」

思わず、俺は聞き返してしまった。

・・・コレは今なんと？

「貴方のことが・・・子供のときから・・・・・・好き・・・です」

彼女の顔は真っ赤だった。

・・・たぶん俺も真っ赤だろう。

「・・・え・・・えっと・・・俺も・・・子供の頃から・・・お前のことが・・・好きだ」

それと、もう1つ。彼女に言いたいことがあった。たった一言。それは―――

「「結婚して下さい」」

二人とも　同じ一言を言っていた。顔を見合わせ、笑った。

「なんか早いねー。今日久しぶりに会ったばっかりなのに。」

「そうだな。超電撃スピード婚ってところか？」

「あははっ　そうだねー」

この笑顔。

この笑顔を見ると、俺は幸せになる。

その笑顔をみたいから。一緒に居たいから。
















これからずっと一緒に居て下さい。











数日が過ぎ。

家族、友達への招待状も送ったし、式の準備は万端だった。

明日はもう、結婚式。

今は両親を呼び寄せ、宿屋で4人別室で眠りについている。

・・・いや。俺はまだ寝付けないで居た。

どうも、目が冴えてしまっている。

外の空気でも吸ってくるか・・・と思い、起き上がって部屋の外に出たそのときだった。

ドンッ！！

なにやら大きな音が聞こえた。

俺は不振に思い、その音源の部屋を覗いてみるとそこには

彼女　と　両親の姿だった。会話が聞こえた。

「あれー？足りませんねー？結婚するなら2億くれるといったのに、たった4000万しかないじゃないですか」
　
・・・彼女の声だった。

・・・は？え？結婚するなら・・・って・・・？

「も・・・・・・っ申し訳御座いませんッ　しかし・・・こちらももう仕事を引退してしまいまして・・・

それに20年近くもお金を払っていますので・・・貯金も財産も何も・・・・・・」

「へぇ？いやー別にいいんですよ？あんなのに愛も友情も感じないし。私だけじゃなく、友達もですが。

貴方がたがお金を止めた場合、全てアレの前から消えますよ？」

「ひぃっ・・・！！それだけはご勘弁を・・・・・・っ」

「ならさっさと残りを持ってきなさい！金の稼ぎ方などいくらでもあるでしょう！！

・・・しかし。私も仮にも聖職者。しばしの時間の猶予を与えましょう。」

「・・・本当にありがとうございます・・・すぐ・・・すぐ持ってきますので・・・」

・・・不味い　誰かがこっちに向かって歩いてくる・・・っ！！

俺は早急に自分の部屋に戻った。



















・・・・・・そうか・・・。

あんなこと・・・やってたんだ。

あの口調からいくと・・・もっとガキの頃から・・・か。

そう・・・か・・・。

・・・・・・・・・そ・・・う・・・か・・・・・・。
























結婚式当日。

周りには多くの幼馴染、友達。

そう、偽りの友情で結ばれた　　金によって結ばれた、友達。

そんなことを考えていたら、もう彼女はバージンロードを歩ききり、俺の隣に居た。

ウェディング姿など目に映らない。

トリスタン3世が何か喋っているが、何も聞こえない。






















何モ映ラナイ―――


























何モ聞コエナイ―――






















「・・・どうしたの？」

彼女が心配そうな

いや、心配そうな顔をしただけの彼女が、心配そうな振りをして声をかけてくる。

「もう・・・・・・終わりにしてくれ。」

「・・・何が？」

「昨日聞いてたよ。お前らの討論をな・・・っ！！」

「・・・・・・っ！！！」

彼女がハッとした顔をする。あたりまえか。

知られてはならないものを相手に知られてしまったのだから。

「新郎新婦！静粛に！これは神聖なる儀――――」

「うるせぇよ」

俺はタキシードにさしていた剣を取り出し、国王の顔をぶった切った。

その剣の名は「ダブルブラッディツーハンドソード」。

わー　とも　きゃー　とも聞こえない　叫び声。

「・・・ふふ・・・惜しいな。もう少しで2億が手に入るところだったのに。」

・・・カノジョノコエダ

「良い夢見れたでしょ？子供のころからさ。ずっとそうだったんだよ？最初に会ったときから。

というかこの前騎士団で会ったときも　あんなの偶然でも運命でもなんでもなくて、ただ金の為にそこで深淵と戦ってた。

まぁ。深淵なんか普通に倒せるんだけどねー。金の為金の為。

・・・まぁ、これ以上金をふんだくれないと分かったからには

―――――死んでもらうよ。」

周りを見渡すと　かつて友人だったやつらが武器をこちらに向けている。

ダブルストレイフィングを打たんとするばかりのハンター。

阿修羅覇王拳を打つために、気を練ったり、爆裂波動したりしているモンク。

今からにでも呪文が唱えられる状態のウィザード。

様々な職業のやつらが、こちらに殺気を放っている。

「みんな・・・いくよ・・・死体すら残さないように・・・・・・ホーリーライ・・・ッ！？」

彼女には目の前から消えたように見えただろう。ハイディングしたとでも思ったのか

「ルアフ！！」

ルアフを唱えていた。

しかし。俺はもう既にそこには居なかった。

「何処へ――――ッ！！」

彼女が俺に気付く。

そのときにはもう、俺の手元には首が3個あった。

「・・・ッ！！！ホーリーラ・・・・・・ッ！？ぐふ・・・・・・っ！？」

「・・・遅せぇんだよ。」

既に俺は、彼女の胸を貫いていた。













―――逃げようとするやつら。















ニガスモノカ


















ニガスモノカ


















ヒメイモ　コンガンモ　ナニモキコエナイ


















イノリモ　ドゲザモ　ナニモウツラナイ

















ヒトヲキッテモ　チガカオニツイテモ　ナニモカンジナイ



















ナニモキコエナイ


















ナニモウツラナイ

















ナニモカンジナイ

















次の瞬間、俺は自分の胸に剣を刺していた。


















―――ココニアッタスベテヲ　ナクシタアトニ。

















――――――――――――――――――――あとがき――――――――――――――――――――

はい。生意気にもあとがきなんぞを書いてみようﾄｵﾓｲﾏｽ
えっと　僕の脳内ではプロンテラ騎兵隊＝高収入　　です
つか約束違っ　　果てしなく約束違っ
・・・御免なさいっ


つーか　中学のとき、真面目に親がみんなに金払ってたらどうしようとか思ってました
今も稀に・・・・・・

まぁ　そんな話どうでもいいですね。

はい取り敢えず、送ってしまって御免なさい。