ぽつぽつと雨が降り続いていた。
強く降っているわけでも、傘をささずに歩けるような小粒の雨でもない。中途半端な雨、でもやまない雨。
雨は風とともに勢いを増した、雨は無音のもとに勢いを弱めた。
とまるでもなく、激しくなるわけでもない、そんな中途半端な雨。
そんな雨が地面に落ち、普段拝めないような小さな小さな川ができ、そして、元からある川へと流れていく。

「今日は朝から雨かー・・・。うー、せっかく遊ぼうと思ってたのになぁ・・・」
少年A　夜切直（やきるなおし）性格：温厚　突発的行動を起こす危険あり　楽観主義

「んー、これじゃ今日は特訓は中止だな」
少年B　馬路　宗石（まじむねいし）性格：実直　義理がたく、仲間を庇うが、逆に閉鎖的で新たな友を作ろうとしない。

「梅雨になるから、洗濯物が乾かないーってうちのお母さんが機嫌悪そうにしてた。」
少年C　宇木都　望（うきとのぞむ）性格：冷静　自分を第三者の目で見ることができ、なにを起こすにもまず考える。

バシャ

「キャッ、・・・車の跳ね水かけられたー。本当、ついてないや・・・」
ボケーっと見慣れた顔の3人を眺めていたらスゴイ勢いでやってきた車が飛ばした水が体中にかかった。
せっかく、この前お母さんと一緒に買い物に行ったとき買ってきた服だったのに・・・、これじゃあ台無しだ。
・・・なんか、泣きそうになってきた。
「あーもう、本当最悪・・・。なんで朝から水浴びしなきゃいけないのよ！」
八つ当たりの対象を探そうと3人の男子を探す・・・発見、ん、なんで下を向いて震えているんだ？
「・・・ぷっ」
なおちゃんが突然ふきだした。と、同時にむねちゃん、もうちゃんも笑い出した。
どろまみれになった私を見て、笑っていると気づいたのは彼らが笑い出してすぐのことだった。
恥ずかしい、泣きたい・・・。だけど、笑われてるのを許せるほど私はデキタ女じゃない。
「あんたたち・・・」
男子3人の顔が固まるのがわかる、だけどもう、遅い。
「許さないんだからねーー！！」
顔を見合わせ、走り出すなおし、むねいし、のぞむとそれを追う塚伊　澪
逃げるほうも追うほうも既に服はビショビショになっているが、おかまいなしだ。
「キャッ、だってよ！レディだレディがここにいるぞーーーー！！」
澪の速度がさらに上がる。
「水浴びですよ、水浴びですよー！朝からこの人シャワー浴びてますよー！おねえさまーーー！！」
澪の体温がさらに上がる。
「やばいって、追ってきてるって！ってか、もうすぐうし」
澪のラリアットを食らって望が沈んだ。
「・・・。」
友の死を心の中で嘆きつつ、なおしとむねいしは走り続けた。
「すまん、すまんのぞむ・・・！」
――学校までの距離、およそ４００ｍ　天候：雨　コンディション：悪　気合：充実　体力：やや疲労　状況：最悪
と、むねいしが突然走るスピードをゆるめた。
「どうした、むねちゃん。疲れたか？」
むねちゃんはそれほど疲れてるようにもみえない。多少息は上がっているけどまだまだ走れるとおもえた。
「なおちゃん、・・・ここは俺が止める。先にいけぇ！！」
映画で見てそんな場面があったのだろう、一人の少年は一人の漢の生き様を映画で見て、そして少年も今、漢になろうとしていた。
「むねちゃん、ごめん・・・！」
漢の勇姿を見届けることはできないが、だが、気持ちは受け取った。お前の思い、無駄にしてたまるか！
「むーねーいーしぃ！！」
雄雄しく吼える一人の獣。
「澪ちゃん！これいじょうさきにはい」
・・・二人目が沈んだ。人のように、油断もなければ容赦もないその一撃。無残にも漢になることもできずに少年は散った。
...走る、さらに走る。たまに滑って転びそうになりながら、それでも決してとまらずに
「なぁおーーーーしぃいいい！！」
・・・すぐ、もう本当にすぐ後ろにきている。見なくてもすぐ後ろにいるというのがわかった。今、うしろを振り向けばまってるのは死、だ。
――学校までの距離、およそ１２０ｍ　天候：雨　コンディション：悪　気合：漢　体力：疲弊　状況：瀕死
望・・・、宗石・・・。お前らの想いは無駄にしない・・・！
「あぁああああああああああああああああ！！！」
なおし、最後の直線ラストスパート・・・。学校までの距離４０、３０、２０、１０...」
校門をくぐり、昇降口をくぐり、急いで教室を目指す。教室には先生がいる・・・そこまでいければ！
と、突然後ろから思い切り引っ張られる。今までとても暑く感じていたというのに、今は冬かと思うほど冷たい感触が背中をさすった。
「なーおー・・・！」
ﾊｧﾊｧ、と息が荒い。今ならまだ逃げれる・・・！
条件反射のように、無言のまま澪の腕を振り払う。そして、走る。ここで諦めたら二人の死が無駄になる。
「先生、助けてください！！」
教室に飛び込んだ直、だがあたりを見回しても先生の姿は、ない。
「・・・そんな、いつもならもういるのに」
絶望、この前クリアしたゲームの中にそんな言葉があったのを覚えている。
あれが、この状況なのだろうか・・・。
「なーおちゃん♪」
あまりのショックに時間がたっていることを忘れていた、一番の失敗は今自分の状況を忘れていたことだった。
「はーい、必殺のぉおおお・・・！」
澪は力を貯めている、そんな言葉が頭の中にでてきた。
次に出る言葉は『痛恨の一撃、だ』
沈む3人目、そしてここに塚伊　澪の伝説が刻まれた。




あとがき　というかなんというか

ﾊｰｲ、田淵です。またまたしょうこりもなくやってしまいました、本当すみません


・・・エヘ♪



管理人一言突っ込み。
全くROじゃないやん！！